【希望がなくなったのは誰のせい?】『希望格差社会』山田 昌弘

『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』(山田 昌弘)という本を読みました。

2007年くらいの少し古い本ですが、2021年でも通用する、というか今こそ読むべき本だと思いました。

目次

『希望格差社会』

希望を「持てる人」と「持てない人」

『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』(山田 昌弘)は、社会構造の変化によって、人生に希望を「持てる人」と「持てない人」との格差が出現し始めた点について書かれた本です。

初版は2004年の本ですが、2021年現在、日本は予測されていた危機的社会に近づきつつあることがわかります。

  • 年金を納めていない、頼る人のいないフリーター、非正規雇用者の人生がどうにもならなくなる
  • 能力のある人、生まれた家庭や容姿が魅力的な人は勝ち続け、そうじゃない人は負け続ける
  • 希望を失った人たちが酒や薬物、ゲームなどで現実逃避を始める
  • 絶望した人たちが犯罪を犯すことを目的とした犯罪を犯す

橘玲さんも『無理ゲー社会』で同じようなテーマを扱っていますが、こちらの方がはるかに有益な本です。

【幸せになるのが難しい社会】『無理ゲー社会』橘玲

希望をなくしたのは誰?

私自身、将来にはあまり希望を持っていませんが、20代30代の中には、同じように考えている人たちって多いと思います。

中には、10代からすでに、自分の人生や日本の将来に希望を持てなくなっている人たちもいます。

なぜこんな社会になってしまったのでしょうか?

「もともと希望なんてなかった」という見方もできますが、バブルに生きた人たちの話や、『希望格差社会』を読む限りでは、高度経済成長期に生きた人たちは、「希望に溢れていた」ようです。

経済の高度成長期には、職業、家族、教育の領域は、ローリスクで安定していただけでなく、「成長」していた。仕事に就いていれば収入は伸び、家族を形成すればその生活は豊かになり、子どもの学歴は上昇した。つまり、特別なことをしなくても、リスクを冒さなくとも、生活が豊かになったのである。

『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』山田 昌弘 ちくま文庫 2007年3月 p112

今じゃ考えられないですよね。

私は会社員時代、正社員でしたが給料なんてまったく増えませんでしたし。

何が日本社会を変えてしまったかについては、
いろいろな見方があります。

  • 資本主義社会のせい(共産主義にするべき)
  • 消費税のせい(廃止、減税)
  • 労働派遣法の改正のせい
  • デフレのせい(インフレ率2%にする)
  • グローバル化のせい

私は政治家でも経済学者でもないので明確な原因はわかりませんが、きっと複合的に、今の社会が形成されていったのだと思います。

1998年問題

本書の中でとくに興味深ったのは、
「1998年問題」についてです。

本書によると、1998年には次のような変化があったそうです。

  • 実質GDP成長率がマイナス1%
  • 自殺者数が3万人(前年比+1万人)
  • 「リストラ」という言葉の定着化
  • フリーターの増加(1999年※1998年に就職できなかった層のフリーター化)

政治家の山本太郎さんは、1997年の「消費税増税」が、2021まで続く「デフレ経済」の原因だと主張しています。

1998年に何があったのか気になるので、
ちょっと調べてみようと思いました。

この本を読んで何となく思ったのは、今の20代30代の世代って(ロスジェネ世代もそうかもしれません)、もう通用しない戦い方を教えられて戦場に送り込まれた兵士ってかんじがしました。

で、「通用しなかった」と訴えても、「とりあえず生き残れ」って無責任に言われるみたいな。

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