「誰でもできる」「リスクなし」「自由に稼げる」
そんな言葉に惹かれるのは自然なことです。けれど、マーケティング的な視点で見たとき、こうした“魅力的な条件”には、落とし穴があることも少なくありません。
この記事では、仕事やキャリア選びにおいても役立つ“マーケティング的な視点”をもとに、
飽和市場・参入障壁・差別化といったキーワードを交えながら、「見えづらい仕事のカラクリ」を解説していきます。
競争が激しい市場は、なぜ稼ぎづらいのか?

「YouTubeやSNSで自由に稼ごう」といった情報は、日々あふれています。
動画編集、アフィリエイト、配達業、ノーコードでの副業…。どれも魅力的に見えます。
けれど、「誰でも始められる」「すぐに稼げる」仕事には、共通点があります。
- 参入が簡単=競争が激しい
- 競争が激しい=価格競争が起こりやすい
- 結果、リターンは薄まりやすい
マーケティングでは、こうした市場を「レッドオーシャン」と呼びます。
多くの人が殺到する市場では、価値あるサービスであっても埋もれやすく、差別化が難しくなってしまうのです。
人気がない仕事には、本当の“旨味”が眠っている?

マーケティングでは「他人と違う選択」が価値を生むことがあります。
仕事も同じで、「あえて人がやりたがらない仕事」には、実は大きなリターンが眠っているケースが少なくありません。
たとえば、消費者金融(いわゆる“金貸し”)という職業。
一部の人には嫌悪感を持たれるかもしれませんが、よく考えてみると「お金を貸す」という行為そのものは、資本主義社会の根幹に関わる仕事です。政府や銀行など、大きな組織が担う領域でもあります。
ただ、ここで取り上げたいのは「消費者金融業界」。
かつてテレビCMでチワワが登場していた頃は、今ほど規制もなく、年利109%という驚異的な金利で利益を出していた時代もありました。
たとえば、100万円を年利109%で30日借りた場合、利息は約8.9万円。
今では規制が進み、年利18%前後が一般的ですが、それでもかなりの利回りです。
とくに会社員など信用力のある人に貸せば、「リスクを抑えて高利回り」という理想的なビジネスモデルにもなり得ます。
実際、「紀州のドンファン」こと野崎氏も、この手法で財を築いた人物のひとりです。
人からは避けられがちな仕事でも、仕組みさえ理解していれば、社会の構造において上位に立つこともできるのです。
参入障壁は「敵を減らす壁」になる
「参入障壁」とは、その業界や職業に入るまでのハードルのことです。
たとえば、医師になるためには長年の勉強と国家資格が必要なので、誰でもなれるわけではありません。
この「壁」があることで、価格競争に巻き込まれにくくなり、自分の価値を保ちやすくなります。
他にも、以下のような要素が参入障壁になります:
- 高度なスキルが必要(プログラミング、語学、統計)
- 資格や免許が必要(士業、専門職)
- 時間やお金の投資が必要(留学、専門学校)
- 精神的な負担が大きい(対人支援、BtoB交渉)
「大変そう」と感じる仕事ほど、競争が少ないぶん“長く戦える市場”になりやすいというのは、キャリア選択における重要な視点です。
飽和している市場は、トップ層以外が消耗する構造に

たとえば、今からYouTubeを始めるとしたらどうでしょうか?
- 配信者が増えすぎて視聴者の時間が足りない
- 競合が強すぎて差別化が難しい
- 再生数や収益が不安定
このような構造になっている今、収益を安定させられるのはほんの一部です。
マーケティング的には、この構造は“すでに飽和した市場”と考えられます。
もちろん、夢を追うことは否定しません。
ただし、「リスクがない」「誰でも簡単にできる」という触れ込みだけで飛び込むのは、市場構造を無視したギャンブルに近いのです。
マーケ視点で考える「仕事選び」のヒント

「どんな仕事を選べばいいのか」と悩んだとき、マーケティングの視点がヒントになります。
視点 | 自分のキャリアにどう活かす? |
需要と供給 | 需要があるが供給が少ない市場は狙い目 |
参入障壁 | 簡単に入れない仕事ほど競争が緩やか |
レッド/ブルーオーシャン | 飽和している仕事ではなく、独自性を出せる市場へ |
差別化 | 自分だけの強みを見つけて尖らせることが重要 |
「なんとなく人気だから」「みんなやってるから」ではなく、
“あえてやりたがらない人が多い領域”に目を向けてみる。
そうすることで、長期的に安定したキャリアを築きやすくなります。
まとめ:人気がある=稼げる、ではない
表向きには「簡単に稼げる」「自由で楽しそう」と見える仕事でも、
マーケティングの視点で分析すれば、必ずしも“おいしい市場”とは限りません。
むしろ、「注目されない」「面倒くさそう」と思われている仕事の中にこそ、
長く戦えて、価値の高い市場が眠っているのです。
仕事もマーケティングも、“見えない構造”に目を向けることで、
自分にとって本当に合った選択が見えてくるかもしれません。