- 自己啓発本を読みまくっても成功できていない方
- 書店に行くと、ついつい成功本を手に取ってしまう方
例外もありますが、「成功したい」と願う人って、自己啓発本、成功本を好む傾向がありますよね。
プロフィールをご覧いただければわかりますが、私自身、超がつくほどの読書家で、これまでに数え切れないほどの自己啓発書を読んできました。
成り上がりの20代が書いたものから、ナポレオン・ヒルのものまで、幅広く読んできました。
自己啓発書は書籍の中でも人気のあるジャンルで、1週間に一度書店に行けば、その都度新しい自己啓発書が並んでいます。
でも、その状況ってちょっと謎ですよね🤔
だってもしもある一冊によって読者が成功できるならば、その書籍だけあれば読者的にはOKなわけです。
ナポレオン・ヒル氏の『思考は現実化する』は、自己啓発書の王者的存在で、世界的な信頼性も抜群です。
仮に『思考は現実化する』で本当に成功できるのなら、他の本っていらなくないですか?
でも実際には、
毎週新刊が登場しています。
若年層に人気の成功者の中には、
毎月のように新刊を出している人もいます。
「成功の法則」って、そんなに何十冊も本を出せるほど細分化できるものなのでしょうか?と疑問に思ったりします。
はたして、自己啓発本、成功本で人は成功できるのでしょうか?
自己啓発本、成功本で人は成功できるのか?

自らテーマを提示しておいてあれですが、実際には、「自己啓発本、成功本で人は成功できるのか?」というテーマに絶対的な答えを出すことはできません。
それは次のような理由からです。
- 教えのすべてを実行しているわけではない
- 今役に立っていないだけで、将来的な成功のキッカケの可能性がある
自己啓発本の著者側の反論として使われるものではありますが、「書かれていることを書かれている通りに実行していない」ことによって、成功できていない可能性があります。
どうでしょうか?
あなたは成功本を読んだ後に、
ちゃんと教えを実行していますか?
もしもその答えが「NO」であるならば、
「そのせいだよ」と言われても反論できません。
また、もうひとつの理由として、情報には即効性がないので、判定が難しいという点もあります。
たとえば、
ある人がある成功本を読んで、
その教え通りに生きた結果、
貧乏になったとします。
その時点で、その成功本の価値を問われたなら、その人はきっと「役に立たない」と答えるでしょう。
でも仮に、その人がその数年後に成功したらどうでしょう。
さらに言うと、その成功の秘訣は、過去の貧乏生活にあったとします。
おそらくその人は、
その成功本の評価を変えることになるはずです。
実際のところ、「自己啓発本を読んでも成功できない」と断言する人もいるし、「成功できる」言う人たちもいます。
それは当たり前で、人それぞれ成功の道筋は違うし、立場も異なるからです。
よって、絶対的に「意味がある」「意味がない」といった結論を出すことは不可能です。
ですので、ここでは結論を急がずに、少し遠回りして話を展開してみましょう。
名も知らぬ誰かを文章のみで成功させることはできるか?
はじめに考えてみたいことは、「名も知らぬ誰かを文章のみで成功させることは可能か?」という点です。
つまり、成功は言語化できるのか?ということです。
もう少しわかりやすい質問として、
次のような自問自答をしてみましょう。
文章という手段を使って、自分の得意なことで、誰かを成功させることはできるか?
「高校野球で甲子園に行く方法」でも良いですし、「新卒で大企業に入社する方法」でも良いです。
ここでは具体的な例として、「3ヶ月で恋人を作る方法」をテーマにします。
まずテーマを決めた時点で、書き手は「読者がみんな成功できるという幻想」を捨てる必要があります。
文章を読んだだけで一切行動しない人がいるからですね。
そういう人たちを成功させるのは無理なので、前提として省いておきます。
ただこの時点で、読者側からも選定が入ります。
- 言語化が下手な人
- まぐれで成功した人
作家の文章がうまいのは当たり前ですが、
「成功者=文章がうまい人」ではないです。
「行間を読む」ことを読者に強いるのは文章として失敗なので、思考や手順を適切に言語化するスキルが必要になります。
よって、文章が下手な人によって書かれた成功ノウハウは価値がない可能性があります。
ただ、ビジネス書として世に出されるものは、ゴーストライターだったり、編集だったりで、文章としての体裁は整っている場合が多いです。
続いて省く必要があるのは、
まぐれ当たりした人たちです。
元々異性から告白されるタイプの人が、「大事なことは勇気を持って声を掛けること」と書いたとしたら、それは罪な話です。
書き手にとっては違和感のない話でも、モテない人にはハードルが高いし、声を掛けても、冷たくあしらわれる可能性があります。
また、時流や市場環境というのも成功の大きな要因です。
たとえば、世の中には、2005年の円安相場+高レバレッジでのFX市場、株式投資のアベノミクス相場、2017年以前の仮想通貨市場など、うまく流れに乗ることで大金持ちになった人たちもいます。
「元々実力があった」のはその通りかもしれませんが、ある市場、環境下においてのみ機能するノウハウを真に受けると大変です。
そして、FXを始めて2年目の2005年には、利益が1億円を突破しました。早っ!どうしてこんなに勝てたのか、いろんな人から質問を受けるのですが、「コレ!」といった特別なトレード方法があったわけではありません。あえて言うなら、ここ一番の度胸と、多少の損失にも動じない精神力、いや鈍感力といったところでしょうか。
『突然マルサがやって来た!』磯貝清明 小学館 2009年 p58~59
↑こういう成功例の人たちが成功本を書いても、人を成功させられるわけがありません。
「3ヶ月で恋人を作る」というテーマで、たとえば「婚活アプリを使え」という方法を言語化したとします。
たしかに真実なのかもしれませんが、たぶん婚活アプリが流行り始めのときと、競合が大量に参入してしまった後では、同じノウハウでも得られる結果は異なります。
書き手が書くことを選べるという罠
続いて考えなければならないことは、
書き手は書くことを自由に選べるという点です。
たとえば、「高校野球で甲子園に行く方法」 でも、「書き手が監督の子どもで、レギュラーになれる可能性が高かった」という背景もあり得ます。
正直にその事実を書けば良いですが、ある事実によってノウハウの価値が下がってしまうと考えられる場合には、たぶん書き手は「書かない」という選択をするはずです。
モテない人向けの恋愛本でよくあるのが、書き手のルックスレベルがわからないということです。
仮に、書き手のルックスがかなり良かった場合、同じノウハウをルックスの良くない人が使うのは危険です。
自己啓発本に限らず「あなたもできる系」の本全般に言えることですが、「こんな自分でもできた」アピールすることはあっても、「こんな自分だからできた」とアピールされることは少ないです。
それは読者の反感を買わないためとか、ノウハウの価値を落とさないためとかなのでしう。
でも言語化されていない点に成功の秘訣が隠れていることもあるので、本来であれば細かい背景を伝えるべきです。
世の中には成功本が腐るほどありますが、
「0→1」が書かれている本はほぼないです。
でも世の中の人たちがつまずいているのは、「0→1」のところで、本来はそこを一番知りたいはずです。
それにもかかわらず、自己啓発本や成功本の多くがそこを勝手に切り取っています。
書き手は、「具体的なことを書くとみんなが飛びついて陳腐化する」とか、「同じことをやっても成功できるわけではない」とか言いますが、それと「0→1」を書かないのは別問題です。
本来であれば、毎日細かくつけた日誌みたいなのがベストです。
だって人間は忘れる生き物だから、
成功してから過去を振り返ると、
肝心な部分が抜けるからです。
それに、成功には様々な要素が関わっているのだから、本来であれば当事者が主観で判断できるものではないはずです。
本人が「努力で成功した」と言っていても、実は「親のコネ」が成功の秘訣だったとしたら、信じた人たちは馬鹿みたいですからね。
読者のスタート地点を無視しまくっている
「読者のスタート地点の無視」についても考える必要があります。
そもそもの話、読み手はスタート地点が違うし、強みや弱みも違います。
でも一人一人に合った成功法則なんて語れないから、とりあえず書き手目線の成功法則が書かれます。
でも実際には、それぞれが抱えている課題は異なるし、それゆえ、それぞれの成功の鍵も異なります。
けれども読み手自信、そんなことは気にせず、成功本に登場する「何をやってもダメな人」とか「借金1,000万円の人」とかに自分を投影させて本を読みます。
普通に考えてそれっておかしくないですか。
スタート地点が違うなら、
一人一人やるべきことは異なるはずです。
「3ヶ月で恋人を作る方法」がテーマの場合、もしも異性はおろか、そもそもコミュ力が低いなら、コミュニケーションのセミナーに通ったり、会社の同僚や学校の友達に普通に話しかける特訓から始めるべきかもしれません。
成功本だってそうです。
もしも読み手が無職なら、「まずは就職しろ」が最善なアドバイスかもしれません。
読み手が微妙なビジネスに手を出そうとしているなら、「ビジネスを変えろ」が最善なアドバイスかもしれません。
でも本にはそれができないし、それができないことが、最大の弱さです。
たとえば、個別コンサルを行う場合、まずは現状を分析して、その現状を踏まえたうえで、改善策を提示します。
なぜ現状を分析するか?
課題は一人一人、一社一社違うし、課題に合った解決策を提示しないと効果が出ないからです。
医者なども同じですね。
- まず症状を申告する(課題、原因を突き止める)
- その後に、その課題、原因に合った解決策を提示する
これが問題を解決する基本です。
でも自己啓発本、成功本は、現状の問題はさておき、解決策の提示のみを行います。
抽象度を上げることによって成功は読者に委ねられる
「読者の現状が把握できない」に続いて、書籍自体の問題です。
書籍には、「みんなに当てはまるものを作ろうとすると、抽象度が上がってしまう」という性質があります。
仕方ない話ではあるのですが、抽象度を上げると、人によって解釈の違いが生じます。
たとえば、抽象度が低い、より具体的なアドバイスはというと、「○○社の株を買え」といったようなものになります。
こういったアドバイスは読み手に選択の余地を与えないため、読み手は頭を使う必要がありません。
逆に、より抽象度を上げると、「成功したいなら株を買え」になります。
もう少し上げると、「成功したいなら投資をしろ」というアドバイスになります。
「株を買え」と言われた読み手は、「どの株を買うか?」を考えなければなりませんし、「投資をしろ」と言われた読み手は、「どんな投資をするか?」を考えなければなりません。
この時点で読み手の解釈は割れるので、同じ情報を受け取ったにもかかわらず、「成功できる人」と「成功できない人」が出てきます。
であれば具体的なアドバイスのほうが有益に思えますが、次のような問題もあります。
- みんなが同じことをすることによって有効性がなくなる
- 時代の移り変わりによって陳腐化する
また、たとえアドバイスが具体的であったとしても、「読者の現状によって結果が変わる」という問題を解決することはできません。
また、アドバイスを抽象的にしておけば、
最悪、読み手に責任転嫁することも可能です。
「努力しろ」というアドバイスに従って行動した結果失敗したとしても、「努力の方向性が違う」とか「その程度じゃ努力と呼ばない」とか言うこともできます。
逆に、具体的なアドバイスを発信した場合、
責任を追求される可能性があります。
「言われた通りに株を買ったのに損した」
「アドバイス通りの洋服を来て、指定されたレストランで告白したのにフラれた」
それに、具体的な情報には上に挙げたデメリットがあるので、すぐに情報の価値がなくなります。
よって、書籍などで出版しても売れないです。
仮に売れたとしても、
売れ続けることはできないです。
また、具体的な情報は効果検証も大変です。
たとえば、株式投資について、「絶対確実に価格が上昇するパターン」を発見したとします。
たとえば、絶対に告白に成功するセリフを閃いたしたとします。
でもそれらを持って「絶対的な成功法則だ」とするには、何度も同じ状況を作って効果を検証することが必要です。
誰が言っても告白が成功するのかの検証が必要です。
現実的にはそんなことはできないので、仮に具体的なアドバイスができたとしても、確実なものではありません。
よって、「成功する人」と「成功できない人」が出てきます。
自己啓発本、成功本に期待するな
少し長くなりましたが、
まとめていきます。
ここまで読んでいただければお分かりかと思いますが、自己啓発本、成功本は、そもそも読者を成功させられる作りにはなっていません。
- 書き手が勝手に書くことを選んで書いている
- 読者のスタート地点を無視している
- 抽象度を上げすぎている
ただ、世の中の自己啓発本、成功本はけっこう抽象度を上げているので、同じ本を読んでも、「成功した人」と「成功できない人」とが出てきます。
そのため、はじめに書いた通り、「自己啓発本、成功本を読んで成功できるのか?」について、絶対的な答えを出すことはできません。
けれども、次のことはハッキリ言えます。
- 読者を成功させるための作りになっていない
- どちらかというと書き手が成功するために存在する
- 自己啓発本、成功本に期待するな
だからそもそも、「自己啓発本を読んでも無駄じゃないか!」とか、「お金や時間を無駄にした」とか、怒ったりするのは見当違いです。
でもじゃあ、自己啓発本や成功本に価値がないかと言えば、そんなことはないです。
書籍の構造上誰もが成功できる作りになっていないだけで、書いてあることはそれなりに事実に基づているはずです。
では我々はどのように自己啓発書、成功本と付き合っていくのべきなのか?
「自分の頭を使う」ことです。
抽象的な情報を人生に活かすためには、
頭を使わないと無理です。
自己啓発書を片っぱしから読むのも結構、
成功本にしがみつくのも結構です。
でも自分の頭で考えることは放棄しちゃダメです。
成功法則はシンプル

自己啓発本にハマっている人、ハマったことのある人はわかると思いますが、あの手の本って、読んでて気持ち良いんですよね。
「今は一時的にダメなだけ」
「後で何倍にもなって帰ってくる」
↑のような、救われる言葉たちが並んでいます。
そしてより新しい言葉を求めて、
本を買い続けてしまいます。
でもそれって、本当は目を背けているだけなんじゃないかって思うんですよね。
人格的な成功はさておき、資産を作るという観点でいえば、たぶん靴をきれいにしたり、長財布を使っても意味がないです。
「自分が苦しくても人に優しくしてあげなさい」と言われて、人に恵んであげるのも結構ですが、たぶん自分がより貧乏になりますよね?
でも資産を作るという観点でいえば、やるべきことはそんなことじゃなくて、もっとシンプルです。
- 稼いで
- 守って
- 増やす
↑のことを意識して生きれば、
少なくとも日本じゃ貧乏にならないはずです。
ニートの人が、成功本を読んでもきっと成功できないです。
なぜなら、「稼いで」の部分が破綻しているからです。
それにもかかわらず、心地よい言葉を探して、長財布を使ってみたり、お金持ちのように高級ホテルに泊まったりしていたら、それはただの現実逃避です。
クレジットカードでブランド物を買って給料日前にカツカツの人が、「お金は天下の回りもの」みたいな言葉を信じて生きたら、いつか破産しますよね。
たぶんみんな、自己啓発本の中に都合の良い言葉、自分を正当化する言葉を見つけて、そこに救いを求めているだけです。
私自身はそうでした。
でも実際には、成功するためにやらなければならないことは、もっとシンプルなはずです。
- 稼いで
- 守って
- 増やす
↑の2つが破綻していると、
生活が苦しくなります。
「増やす」ができていないと、ラッキーを拾わない限りお金持ちになることができません。
私自身もそうでしたが、「まわりに感謝しよう」とか、「トイレを綺麗にしよう」とか、そういう類の自己啓発本を買っている人って、みんな少ない給料の中から本を買うお金を出していると思います。
でもそういう人たちに必要なのって、ありがたい言葉なんかじゃなくて、リスクを取って起業するとか、もう少し安全に考えて転職するとか、もっと現実的な話なんですよ。
仮に30歳まで(現在25歳)に1億円の資産を作ることを想定しましょう。
1億円の資産を作るために、
毎年いくら稼がないといけないかわかりますか?
漠然と「いくらくらい欲しい」と考えている人もいると思いますが、試しにノートとペンを引っ張ってきて計算してみてください。
おそらくほとんどの人が、「このまま生きていたら達成できない」となるはずです。
圧倒的に稼ぐ金額が足りないはずです。
「じゃあどうするか?」ということを真剣に考えたときに、「稼ぐ額を増やす」「投資で元手を増やす」という解決策が浮き上がってきます。
稼ぐ額を増やすには、
どうすればよいか?
- 出世する
- 給与アップを交渉する
- 転職する
- 起業する
- 副業する
↑から現実的なものを選ぶことになると思います。
「靴を磨く」とか「まわりに感謝の気持ちを伝える」とか、そんな話じゃないですよね?
べつに「靴を磨く」とか「まわりに感謝の気持ちを伝える」のが悪いことではないですが、「資産を築く(成功する)」って非科学的なものではなく、もっと論理的なものなはずです。
でも「出世する」にしても、「転職する」にしても、めんどくさいし時間がかかりそうですよね。
だからこそ、手取り早くできそうな、心地よい言葉にしがみついてしまうのだと思います。
でもそういう生き方をしていたら、お金持ちになるどころか貧乏になってしまいますよ。