フリーランスとしてホームページ制作をしていると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
特に「スキルさえあれば大丈夫」と考えてビジネス面の知識が浅いままだと、リスクに気づかないまま契約を進めてしまい、大きな損害を被る可能性もあります。
そこで重要になるのが「契約書」の存在です。
この記事では、フリーランスWeb制作者がトラブルを回避するために契約書で絶対やるべきことを、具体的に解説していきます。
契約書は“お守り”のような存在

会社員時代には、契約関係の処理は社内の誰かがやってくれていたかもしれませんが、フリーランスになればその全てを自分で担う必要があります。
クライアントとの信頼関係があっても、「言った・言わない」のトラブルが起こるのは日常茶飯事。
そんなときに「契約書」という“お守り”があるかどうかで、明暗が大きく分かれます。
何か問題が起きた際に、「契約書の第〇条に記載があります」と言えるかどうかが、あなた自身を守る鍵になるのです。
ホームページ制作で必要になる主な契約書

制作委託契約書
- 納品方法、スケジュール、支払い条件(着手金・分割・一括など)
- 瑕疵担保責任(納品後のバグ対応など)
- 著作権の取り扱い(納品後の権利が誰に帰属するか)
秘密保持契約書(NDA)
- クライアントの機密情報(事業内容、マーケティング戦略など)を守るための契約。
- 特に法人案件では必須項目。テンプレート使用時は必ずカスタマイズを。
保守・運用契約書
- 納品後のサポート内容(月額制の保守、問い合わせ対応など)
- バグ対応の範囲や対応時間の明記も重要
契約書を結ぶときに絶対やるべきチェックポイント

契約書を交わす場面では、ただ形式的に書面を取り交わすのではなく、その中身をしっかり確認し、自分にとって不利な条件がないかを見極めることが必要不可欠です。
トラブルの芽は、たいてい「ちゃんと読んでいなかった」「相手を信用しすぎた」といった油断から生まれます。
これから紹介するチェックポイントは、トラブルを未然に防ぎ、信頼関係を築くための重要なステップです。フリーランスWeb制作者として、自分の身を守る術としてぜひ押さえておきましょう。
1. 相手が作成した契約書は、内容を隅々までチェックする
「契約書は相手が用意してくれるから安心」と思って、印鑑をポンと押すのは非常に危険です。
相手が一方的に有利な条件を盛り込んでいる可能性もあります。
納期、報酬、権利関係、免責条項など、自分に不利な文言がないかを必ずチェックしましょう。
2. 不明点は遠慮なく質問・修正依頼を
法律用語がわかりづらい場合もありますが、「わからないままにしておく」のが一番危険です。
意味がわからない条文には遠慮せず確認を取り、不利だと感じた点は修正を依頼しましょう。
交渉の場に立つのも、フリーランスの大切なスキルの一つです。
3. 必ず書面(もしくはPDF)で保管する
口約束やメールだけで進めていると、証拠が残らずトラブルになった際に不利です。
書面やPDFで契約を交わし、保存しておきましょう。
契約書と一緒にやっておきたいリスク対策

契約書だけでなく、日々のやりとりや相手との信頼構築も、リスク回避の重要な要素です。
フリーランスとして活動する中で、“違和感”や“疑念”を感じたら、その直感を無視せずに行動することが自衛になります。
ここでは、契約書と併せて取り入れておきたい、実践的なリスク対策を紹介します。
やり取りの履歴は必ず残す
「この人ちょっと怪しいな」と感じたら、やり取りはできるだけメールやチャットツールに残しておきましょう。
「あの時言いましたよね?」と主張しても、「聞いてない」と言われたらおしまいです。
ですので基本的に口約束はやめたほうが良いです。
電話で話した場合も、後から「先ほどの件ですが…」と文書で確認する習慣をつけると安心です。
直感を信じる
契約段階で違和感を感じる相手とは、無理に契約しないことも自分を守る手段です。
「ちょっとでも不安な相手とは仕事しない」これもフリーランスにとって大切なリスクヘッジのひとつです。
私は、時間にルーズだったり、「明日までに送ります」と言った約束を守らないような人とは、最初から仕事をしないようにしています。
まとめ:契約書はあなた自身の“防具”
契約書は、単なるビジネス上の儀礼ではなく、あなた自身を守る“防具”です。
どんなにスキルが高くても、トラブルで消耗してしまっては稼ぐことができません。
契約書を正しく理解し、正しく使うことが、フリーランスとしての信頼と安定につながります。
「契約書を交わすなんて、堅苦しくて嫌だな…」と思うかもしれませんが、それは会社の外で生きることを選んだ人にとってのある種の義務です。
あなた自身を守るために、今日からでも契約書への意識を高めていきましょう。