かつてWebデザイナーやディレクターは「デザインと進行管理ができれば十分」とされていました。
しかし、現代のWeb制作現場では、それだけでは不十分です。
なぜなら、クライアントの目的は「見た目がきれいなサイトを作ること」ではなく、「サイトを使って成果を上げること」だからです。
そして、その成果を支える最大の武器が SEO(検索エンジン最適化) です。
この記事では、SEOの専門家ではないけれど、制作やディレクションの中でSEOを意識して動く必要がある方に向けて、今すぐ知っておくべきSEO対策の本質と、実務に役立つ知識を体系的に解説します。
SEOとは?Web制作における基本的な捉え方

「SEOってマーケターがやるものでしょ?」と油断していると、クライアントから「これ、検索に強くしたいんですが」と言われて冷や汗をかくことになります。
SEOは、制作やディレクションの段階で意識しておくべき必須の要素です。
検索で見つけてもらえるサイトにするために、まずは基本の役割と考え方から押さえていきましょう。
SEOの定義と目的
SEOとは”Search Engine Optimization”の略で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳されます。
目的はシンプルで、「Googleなどの検索エンジンで、特定のキーワードで上位表示され、見込みユーザーからのアクセスを得ること」です。
制作現場でのSEOの役割
SEOはマーケターやライターだけのものではありません。
Webサイトというアウトプットを作る以上、制作者・ディレクターも構造面やユーザー導線の面からSEOを考慮する必要があります。
以下のような要素は、まさにWebデザイナー・ディレクターが担当すべきSEO領域です:
- HTMLの構造(見出しタグ、metaタグの設計)
- 内部リンクと情報設計
- ページの表示速度
- モバイル対応・レスポンシブ
- クローラビリティの確保(robots.txt、sitemapなど)
SEOに強いWebサイト設計:構造編

検索エンジンに評価されるサイトは、構造の段階から差がついています。
「コンテンツは良いはずなのに順位が上がらない…」という悩みは、もしかすると構造設計に原因があるかもしれません。
ここでは、Web制作者やディレクターが押さえておくべき構造面のSEO対策について、実務で活かせるポイントに絞って解説します。
●情報設計の最適化
クライアントが求める成果に合わせて、ユーザー導線と検索エンジン両方に最適化された情報構造を設計する必要があります。
例えば「サービス紹介」「料金」「実績」「よくある質問(FAQ)」「お問い合わせ」など、検索意図に即したページ構成を設けることで、自然検索からの流入が増加します。
HTMLの文法と意味
見出しタグ(h1〜h3など)を適切に使い分けることで、Googleはページの構造を正確に理解しやすくなります。
<h1>サービス一覧</h1>
<h2>Web制作</h2>
<h3>デザイン</h3>
<h3>コーディング</h3>
<h2>SEOコンサルティング</h2>
このように意味のある階層構造を作ることが、SEOにおける基本です。
URL構造とパンくずリスト
URLは人間にも検索エンジンにも読みやすい構成が望ましいです。
- 良い例:
https://example.com/service/seo
- 悪い例:
https://example.com/page?id=123
また、パンくずリストを設置することで、ユーザーの位置情報がわかりやすくなるだけでなく、内部リンクとしてのSEO効果も高まります。
コンテンツ設計とSEO

検索上位に表示されるためには、「コンテンツの中身」が極めて重要です。
ただページを増やせば良いという時代は終わり、いかにユーザーのニーズに合致した質の高い情報を提供できるかが鍵となります。
コンテンツは検索意図に応えるもの
SEOにおいては「ユーザーの検索意図に応えるコンテンツ」が最重要です。
Webディレクターはワイヤーフレーム設計時点で「このページでは、どんな検索意図を満たすべきか」を明確にしておく必要があります。
例:
- 検索キーワード:『SEOとは』
- ユーザーの検索意図:初心者にわかりやすく解説してほしい
- 対応すべき内容:概要、仕組み、重要性、実例、Q&A
記事コンテンツの場合のチェック項目
- h1タグは1ページに1つのみ
- キーワードはタイトルや見出しに自然に含める
- 画像にはalt属性を設定
- 外部・内部リンクを適切に配置
技術面でのSEO対応
技術的な観点でもSEOを意識した設計が求められます。
検索エンジンのクロール精度やユーザー体験の向上につながるポイントをおさえましょう。
モバイル対応(レスポンシブデザイン)
Googleはモバイルファーストインデックスを導入しているため、モバイルでの見やすさ・操作性がSEO評価に直結します。
制作段階で、スマホでの閲覧時に文字が小さすぎないか、クリックできるボタンが重なっていないかなど、ユーザビリティに配慮しましょう。
ページの読み込み速度
読み込みが遅いページは離脱率が高くなり、SEOでも不利です。
改善施策:
- 画像をWebPなどに変換し、軽量化する
- JavaScriptの読み込みを最適化する(deferやasync)
- サーバーのレスポンスを高速化(キャッシュ活用やCDNの導入)
indexされるかどうかのチェック
robots.txtやmeta robotsタグでインデックス拒否していないかの確認は必須です。
制作現場で役立つ!Webディレクター・デザイナーのためのSEO実務チェックリスト
「SEOが大事なのはわかっているけど、何から手をつければいいかわからない」──そんなWebディレクターやデザイナーのために、実務で最低限おさえておくべき項目をチェックリスト形式でまとめました。
案件ごとにこのリストを活用すれば、見落としを防ぎ、検索に強いWebサイトを効率的に作ることができます。
構造設計に関するチェック項目
- h1タグはページに1つだけ使われているか
- h2〜h4などの見出し階層が論理的に整理されているか
- パンくずリストが設置されているか
- URL構造が人間にも検索エンジンにもわかりやすい形になっているか
- サイト全体の内部リンクが適切に設計されているか
コンテンツに関するチェック項目
- 各ページに適切なキーワードが自然な形で含まれているか
- titleタグに検索意図を反映したキーワードが含まれているか
- meta descriptionがページごとにユニークかつ魅力的に書かれているか
- alt属性が画像すべてに設定されているか
- 読者の検索意図にマッチしたコンテンツ構成になっているか
技術面に関するチェック項目
- モバイルファーストの設計になっているか(スマホでも快適に見られるか)
- ページ表示速度が十分に速いか(PageSpeed Insightsでスコアを確認)
- JavaScript・CSSが読み込みに影響しすぎていないか(遅延読み込みの活用)
- 画像は軽量化(WebPなど)されているか
- クローラーが巡回可能な構成になっているか(robots.txt、noindexの確認)
公開準備に関するチェック項目
- Google Search Consoleに登録されているか
- サイトマップ(sitemap.xml)が設置されているか
- GA4などアクセス解析ツールが導入されているか
- 主要ページがindexされているか(site:コマンドで確認)
- OGPやSNS用のメタタグが設定されているか(SNS共有時の見栄え確認)
まとめ:SEOはWebデザインの延長線上にある
SEO対策はもはや“オプション”ではなく、Web制作者にとっての“必須スキル”です。
制作の初期段階からSEOを考慮しておくことで、検索結果に表示されやすくなり、クライアントの満足度も向上します。
成果を出せるサイトをつくるために、デザインやコーディングだけでなく、「検索される設計」にまで手を伸ばしましょう。
今日からあなたの制作力に、SEOという強力な武器を加えてください。